彼を知り己を知れば百戦殆からず

2019年度も終盤となりました。宮通研をはじめ各団体でも学校でも年度の総括と新年度の準備を始めています。

 

そのような中、新型コロナウイルスが世間を騒がせています。いまのところ宮城県では感染者が確認されたというニュースはありません。しかし、このようにテレビをつければ新型コロナウイルスの話題ばかり、様々なイベントも軒並み中止という状況では、不安もいや増すというものです。

そもそも冬に流行する感染症といえば、インフルエンザやノロ/ロタウイルスによる感冒性胃腸炎が上位です。最近の日本は新型コロナウイルスにばかり目が向いていますが、インフルエンザは昨年9月頃から発症が確認され始め、12~1月が流行のピークでした。感染者は昨シーズンの半数以下となっていますが、1万2千人以上の方がインフルエンザで入院しています。少し下火になってきた2020年第7週(2/10-16)でさえ、3万7千人以上の患者数が報告されています。米国では、今シーズン1月25日までに、インフルエンザ患者数は1,900万人確認され、18万人が入院し、死亡者は1万人を超えたとのことです。新型コロナウイルスよりもインフルエンザのほうがはるかに死亡率が高いようです。「新型」ウイルスはその中身がよくわからないこともあり、過剰に反応してしまいますが、「彼を知り」基本的な感染症対策を講じることが大切だと思います。

繰り返し言われているのは、①手洗いと②咳エチケットです。やはり有効なのは手洗いで、以前は長時間洗う(ハッピーバースデートゥーユー♪と歌いながら)ようにという指導もありましたが、最近は、短時間でも石鹸で2回まんべんなく洗うこと、帰宅時や食事の前後に洗うとよいと言われているようです。そして、お互いに守りたいのが咳エチケット。人様に向けてくしゃみをするなど言語道断ですが、手で押さえるのもだめです。その手であちこち触れば周りに迷惑ですよね。最近は、マスクを装用している人が増えましたが、いまだに盛大なくしゃみを連発するおじさんがいます。お互いに対する配慮が不可欠ですよね。とはいえ、そろそろ花粉の季節です。感染症ではなく花粉症によるくしゃみが増えてくるかもしれません。くしゃみしにくいご時世です…。

それでも一番の対策は、体力(免疫力)を強めることです。規則正しい生活、十分な睡眠、バランスのよい栄養をとって、健康な体を維持することが何にも勝る防衛策です。わかってはいるものの、これが一番難しい対策かもしれません。特に年度替わりの季節はどうしても多忙になりますが、「己を知り」欠けているものを補いつつ、お互いに気を付けあって元気に過ごしましょう。

(我が家では『はたらく細胞』シリーズ,講談社 がブームです。)

 

2月9日、特別手話講座2019が開催されました。今回も午前・午後の催しで、午前は防災学習として「クロスロード」に取り組みました。グループごとに「〇〇のときあなたはどうしますか? それはなぜですか?」という質問に答えながら、非常時に人間はどのような考えをもつのか、どのように動くのかを知るワークショップです。他者の考えを聞き、傾向を知ることは防災だけでなく通訳にも通ずる重要なことです。いろいろな意見が出ていて大変ためになりました。午後は、全通研理事で事務所長の浅井貞子氏をお迎えして「手話との半生を語る」をお聞きしました。1975年に京都の手話学習会みみずくに入会してから今日まで45年間の手話半生。京都市認定手話通訳者となり、日本聴力障害者新聞編集部の職員を経て、全通研職員として京都と全国の手話通訳界を見てこられた

中でも、浅井さんといえば震災対策のご苦労を思います。阪神淡路大震災に始まり、新潟中越地震、東日本大震災、そして熊本地震と、この25年の間に大きな災害がいくつも起こり、そのたびに被災地支援として手話通訳派遣を担当してくださったのです。東日本大震災のときには、全国各地から応援の名乗りを挙げてくださった手話通訳者をコーディネートし、宮城県・福島県の被災地に派遣してくださいました。手話通訳のことを熟知している浅井さんならではの手配は的確で、とても心強かったことを思い出します。近年は、台風や豪雨被害が多発しており、全通研の催事を決行するかどうか判断を迫られることも多くなりました。それらに迅速に対応し、職員を束ねつつ、全国の支部と連絡を取り合うなど、全通研の核である存在は、やはり大変心強いものです。この45年間にろう者をとりまく社会は大きく様変わりしたことと思います。よい変化は共に喜びあい、まちがっても悪い変化につながらないよう共に目を光らせていきたいと思います。

 

 2019年度は、全国ろうあ者大会という大きな行事がありました。先日、実行委員・要員として奮闘してくださった皆さんのために、特別企画の再公演がありました。大会当日は、用務に忙しかった皆さんも、ゆっくり鑑賞できたのではないでしょうか。大会報告書もまとめられ、全国大会についてはひと段落したと言えるでしょう。お疲れさまでした。そして、「宮城県障害のある人もない人も共生する社会づくり条例(仮称)」の検討会が終了し、報告書が知事に提出されました。「宮城県手話言語条例(仮称)」の検討も進んでいます。宮通研は、これからも会員の皆さんと一緒に歴史の一コマを共有していきます。2020年度も引き続きよろしくお願いいたします。

 (会長  宮澤典子)