Noricoda MINI 「法制度を味方に」

 2025618日「手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)」が成立しました。全日本ろうあ連盟は2010年から手話言語法制定推進事業を開始しました。手話の認知を進め、公私の領域で手話を自由に使用できる豊かな社会の実現を目指して、法整備を求める取り組みを続けてきたのです。『手話でGo』などのパンフレットを発行しては法律の意義や内容を周知し、自治体への働きかけにより、国内すべての自治体議会が手話言語法制定を求める意見書を採択しました。海外に出かけては手話言語法を調査し、国内では手話言語フォーラム等を開催し、手話言語条例制定を働きかけ、世論や国会議員を動かしてきたのです。手話言語法制定推進運動本部が考案した「日本手話言語法案」もありましたが、今回は、議員連盟と共に検討した「手話施策推進法()」が第217回通常国会に上程され、可決・成立の運びとなりました。当初希望した名称にはなりませんでしたが、最初の法律案で謳われていた五つの権利(①手話を獲得する ②手話で学ぶ ③手話を学ぶ ④手話を使う ⑤手話を守る)は、手話施策推進法にも盛り込まれています。

かつて、手話は言語とは思われていませんでした。耳の聞こえない人が音声言語の代替えとして用いるサインにすぎないと思われていたのです。しかし、ジェスチャーやその場限りのサインが、複雑な概念を伝え合う手段になり得ないことはわかりそうなものです。ろう者が十分に意思疎通し、情報や知識や概念を伝え合っているのであれば、それらを媒介するものは「言語」であると考えるのが妥当ではないでしょうか。世界ろう連盟は「手話は、豊かな統語構造と文法体系をもつ言語であり、単なる『コミュニケーション方法』あるいは『コミュニケーション様式』ではない」と述べています。世界中のろう者は手話を大切な言語として扱っています。そして、それはろう者だけでなく社会のすべての人々が理解し尊重すべきことなのです。

「手話施策推進法」が制定されたことで、私たちの運動が完結するわけではありません。この法律を後ろ盾にして、手話を使用する人々が暮らしやすい社会になるよう、私たちはさらに声をあげていかなければならないのです。まだまだやることはいっぱいです!

2回宮通研学習会で一緒に学びましょう!           

 会長  宮澤典子