2026(令和8)年の幕開けにあたり新年のごあいさつを申し上げます。
旧年中は宮通研にご支援ご協力いただき、誠にありがとうございました。新年も引き続きよろしくお願いいたします。
公益財団法人日本漢字能力検定協会が毎年募集している「今年の漢字®」2025年の第1位は「熊」(23,346票)、第2位は「米」(23,166票)でした。特に熊の出没件数は36,814件(12/12読売新聞より)と過去最高で、被害件数も過去最高となり、これまでにない異常事態だったと思います。これまで、温暖化による異常気象や漁獲高の変動なども懸念されてきましたが、人と獣の世界にも想定外の変化が押し寄せているのかもしれません。
さて、宮通研会員である私たちの2025年を振り返ってみましょう。
まず、2025年のトップニュースは「手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)」が成立したことでしょうか。第2回宮通研学習会でも取り上げましたが、2010年から全日本ろうあ連盟が中心となり、手話言語法制定を求めて取り組んできた成果ですね。残念ながら「手話言語法」という名称の法律にはなりませんでしたが、手話を使用するすべての人たちのための施策推進を謳っています。手話の習得や手話による教育、職場や地域生活における環境整備、手話通訳者等の人材確保や適切な処遇確保などが書かれています。また、国や地方公共団体の責務にも触れられており、この法律を味方にするか、紙に書いた餅にするかは、これからの私たちの取り組みによります。まず、隣人に話す。そして行政に話して、おいしい餅を食べられるようにしましょう。
もうひとつ大きなニュースは「東京2025デフリンピック」ですね。2022年に日本開催が決定してから3か年にわたり、全日本ろうあ連盟と東京都スポーツ文化事業団が運営委員会を組織して準備を進めてきたものです。11月15日から26日までの12日間、東京都、静岡県、福島県を会場に21競技で熱戦が繰り広げられました。本大会には、79か国・地域から3,081人の選手が出場しました。日本選手団は21全ての競技に出場し過去最高の51個のメダル(金16、銀12、銅23)を獲得しました。陸上では仙台大学の佐々木琢磨選手と村田悠祐選手、小原奏楽選手が金メダルを、水泳では星泰雅選手が銅メダルを獲得しましたね。各競技会場には28万人もの観客が訪れ、サインエールで選手たちを応援しました。また、全国各地で応援イベントが開催され、デフリンピックを盛り上げました。宮城県でもキャラバンカーが県内を巡回したり、応援イベントを開催しましたね。高倍率のなか選ばれたたくさんのボランティアの皆さんも大活躍でした。また、デフリンピックを機にあちこちに情報支援ツールが設置されました。多くの人たちの熱意と繋がりに感動をもらった大会でした。
8月8日~10日、全国手話通訳問題研究集会~サマーフォーラムが京都で開催され、全国47都道府県から1,333人が参加しました。サマーフォーラムの参加者が1,000人を超えたのは久しぶりです。さすが京都ですね。ただ、折しもEXPO2025大阪・関西万博やびわ湖大花火大会と重なり、京都駅周辺は大混雑。サマーフォーラムのA講座(体験学習)は通常バスツアーとなっていますが、万博にバスを取られてしまい、公共交通機関を使って京都をめぐる講座となりました。また、宮通研N-Action班が第1分科会にレポート「宮通研N-Action班のあゆみ(設立経緯・活動内容・成果)」を提出し報告しました。今回、宮城県からの参加者は4名でしたが、来年のサマーフォーラムinしずおかには、もう少し大人数で参加したいものです。次回のためのレポートの準備も始めています。ぜひ、富士山と三保の松原と全通研仲間に会いに出かけましょう。さらに、2027年のサマーフォーラムは青森です。そちらも、東北の仲間を応援しに出かけないとね!
2025年度は全通研が5年毎に実施している「雇用された手話通訳者の労働と健康に関する実態調査」を実施しました。前回に引き続き、「障害者総合福祉推進事業」として国庫補助金を得て実施しています。調査対象者は2,054人で前回よりも65人増えましたが、回答数は1,426回答率69.42%と前回よりも低下しました。宮城県では対象者が5人減となっており、設置通訳の欠員やポストの減少がみられます。手話施策推進法を追い風に通訳人材の配置拡大を目指したいところです。今回の実態調査では、従来の雇用されている設置通訳者以外に、電話リレーサービスオペレータを対象にした調査や手話通訳者を雇用している企業の訪問調査を追加しました。近年、手話通訳の形態が多様化している実態を調査に反映させようとするものです。手話通訳者が健康で生き生きと通訳活動ができなければ、ろう者の社会参加に支障がでます。ろう者も手話通訳者も社会もうれしい「三方良し(さんぽうよし)」の通訳制度を目指しましょう。
能登半島地震の復興や国外で長引く紛争、青森県東方沖地震など、心の痛む報道も続いています。どの土地にも人の暮らしがあり、人は人とともに幸せに生きる権利を有しています。私たちも仲間の存在に力づけられながら、お互いを支える生き方をしたいものです。全通研は2024年度に50周年を迎え、理事会の部局改編を行いました。2025年度代議員会では定款改正を行い、少しずつ新しい全通研を作ろうとしています。宮通研も設立してから38年になります。私たちが積み上げてきた歴史を力にして、次の歴史を作り始めましょう。
2026年も皆さまにとって明るくよき日々となりますように。
今年も宮通研をよろしくお願いいたします。
会長 宮澤典子
