自分の言語に誇りを持って

24日は立春。暦のうえでは春の始まりです。

昨年11月から12月は新型コロナウイルス感染者が減少し、このまま収束に向かってくれるのかと淡い期待を抱いていましたが、新年早々第6波が到来してしまいました。しかも、感染者のほとんどが感染力の強力なオミクロン株によるもので、感染者数はネズミ算的に増加しています。特にオミクロン株は若年層に感染が拡大しており、仙台では休校となる小中学校も出ています。若年層は重症になりにくいと言われていますが、小さな子どもが発熱や倦怠感に苦しむのはかわいそうです。また、子どもが感染すれば親をはじめ家族も外出を自粛するなどの対策を講じなければなりません。新型コロナウイルス感染症は対岸の火事とは言えない状況です。宮城県や仙台市では「感染拡大傾向時の一般検査事業」として、県内36か所で無料検査を実施しています。無症状だけれども感染リスクの高い状況にあり、感染の不安があるという場合は、こちらの検査を利用するとよいでしょう。また、何かあった場合にどのように行動すればよいのかも合わせて確認しておきたいものです。

 

宮城県ホームページ 新型コロナウイルス感染症対策サイト

https://www.pref.miyagi.jp/site/covid-19/index.html

 

宮城県ホームページ 【無料検査】感染拡大傾向時の一般検査事業について

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/situkan/m-kensa_ippan.html

 

 新型コロナワクチン接種証明書アプリ

  https://www.digital.go.jp/policies/posts/vaccinecert

 

115日(土)、NHK仙台放送局において「NHK手話ニュースキャスター、ファンミーティングin仙台」が開催されました。当日は6人のNHK手話ニュースキャスターと、400人の応募の中当選した102人の参加者が一堂に会しました。また、NHK職員はもとより、東北福祉大学の学生もスタッフとして活躍してくれました。

キャスターの語る日本手話は音声日本語に通訳され、手話を知らない方々にも楽しんでいただける企画でした。NHK手話ニュースキャスターの皆さんは、11年前の東日本大震災の後、被災者を元気づけるため岩手・宮城・福島の3県で「出張・NHK手話ニュース」を開催してくれました。震災後は、たくさんの芸能人や歌手が被災地に入り応援してくれましたが、そのとき、ろう者が元気になる方法は何だろうかと考え、手話ニュースキャスターたちに相談したことから、実現したものでした。出演料はもちろん、旅費もすべてキャスターたちの手弁当でした。あのときは手話話者や手話学習者が対象でしたが、今回のイベントの根底には「すべての視聴者に向けて」というコンセプトがあったそうです。コロナ禍により、一般のテレビ放送で手話通訳や手話を目にすることが増えました。昨年の東京オリンピック・パラリンピックの開会式や閉会式では、ろう通訳が手話通訳する番組が放送されました。このような動きの中、手話という言語に注目が集まっているのだと思います。

NHK仙台放送局は宮城県聴覚障害者情報センター(みみサポみやぎ)の向かいにあります。みみサポからのリクエストにNHK仙台放送局が応え、イベントが企画されたことはとても嬉しいことです。人と想いのつながりを感じます。NHK仙台放送局のスタッフと手話ニュースキャスターとの打ち合わせは、オンラインで文字チャットを使ったやり取りだったそうです。これも時代を感じますね。このイベントはNHKの他の番組からの取材も入っていました。これらの番組をとおして、今後、まだ手話を知らない視聴者にも手話の存在と魅力が伝わっていくのでしょう。

 

213日(日)には、2021年度宮通研特別手話講座が開催されます。

宮城県では、20203月に「塩竈市手話言語の理解及び障がいの特性に応じたコミュニケーションの促進に関する条例」が制定されたのち、2021326日には「宮城県手話言語条例」が制定され、今年114日には「名取市手話言語条例」が制定となりました。それぞれの条例が施行されてから、私たちの周りに変化はあるでしょうか。社会的な変化を追い風に、当事者や支援者の積極的な取り組みによって、県内の手話環境は変化していくことと思います。

では、私たちはどのような取り組みをすれば良いのでしょうか。そのヒントを、特別手話講座で学びたいと思います。手話言語条例制定先進地の兵庫県明石市で、まさに渦中の人となって活躍している、全通研の米野規子理事から、この間の活動について伺いましょう。このような状況下なので、残念ながら宮城県にお越しいただくことは叶いませんでしたが、オンラインでお顔を見ながらお話を聞くことができます。今月号にチラシが同封されていますので、今すぐお申し込みください。

 

36日(日)には、第57回耳の日記念手話まつりが開催されます。記念講演の講師は、宮城県塩釜市出身でCODAでライターの五十嵐大氏です。ろう者は人物を紹介する際に、まず「ろう者/聴者」を述べることが多いです。そして、ろう者の世界では聴者とCODAは分けて紹介されることが多いように思います。演題にあるように、五十嵐氏は2冊のエッセイを発刊しています。その2冊を読むと、「ああ、わかる…」と身近に思うこともあり、「そうなのか」と考えされられることもあり。

最近は、さまざまなマイノリティたちが、自分の言葉で自分たちのことを発信しています。「花のことは花に聞け、虫のことは虫に聞け」とは、以前同僚の先生が卒業生に贈っていたはなむけの言葉です。当事者と支援者はお互いがとても大切な関係ですが、それでも自分の想いは自分で自分の言葉で述べることが大切ですね。それができる環境を整えていくのも私たちの使命だと思います。

 

 会長  宮澤典子